STORY
伝統の光を今に継ぐ、花火職人の鮮やかな手仕事。
田畑が遠く広がる福岡県みやま市。筑後平野に位置する、自然に富んだこの土地で、筒井時正玩具花火製造所は伝統の光を守り続けている。
「スボワラ」と呼ばれる持ち手の藁は、最も適した希少な品種を自家栽培。他にも宮崎産の松煙や八女産の手漉き和紙など、近隣の天然素材を選び抜いて活用。
線香花火の火薬量は0.08g。1/100gの違いで輝きは一変する。さらに火玉の持続時間も、先端の「首」の撚り方次第。職人たちは指先に全神経を集中する。
火を点けるのが惜しまれるほど。手練れの作る伝統花火は、まるで工芸品のような繊細な仕上がり。一本一本が、既に花として美しい。
家族と、友人と、恋人と。大事な人と分かちあう線香花火の瞬き。その刹那に燃えて散りゆく姿に、ふと日々の豊かさや幸せが問いかけられる。
プロフィール
筒井時正玩具花火製造所(株)
福岡の地に約90年続く、国内唯一の線香花火製造所。一本一本が匠の手作り。持ち手の藁から自家栽培し、時には和紙を草木染めして味わい深く撚りあげる。玩具花火の伝統を継承しつつ、モダンな感性も取り入れて、国内外から大きな注目を集めている。
https://tsutsuitokimasa.jp/
公開日: 2020/7/17