STORY
マイペースに楽しむ、お掃除フェスのすすめ
突然ですが、掃除好きですか?私は日常的な家事の中で、もしかしたらいちばん好きかもしれません。部屋中をすっきりピカピカに整えた時の爽快感。空間がととのうことで心の中も整理整頓されるような気持ち良さと、なんだか自分も “ちゃんとした人” になったような感覚。あの充実感が凄く好きなのです。でも、実際の我が家はいつもごちゃごちゃとモノに溢れています。雑貨を仕事にしているからというのもあるのですが、正直なことを言うと、大好きなモノに囲まれた雑然とした暮らしの方が、居心地の良さで優ってしまうのです。
掃除上手な人たちの「心地いい空間をキープするコツは、毎日ほんのちょっとずつの掃除」というアドバイスに習って、ちょい掃除を毎朝のルーティンに!なんて意気込んでみたこともあるんです。でもその “毎日” ってのがなかなかむずかしい。カラッと晴れたお掃除日和な朝ばかりではないし、5分でも長く寝ていたい朝もある…まいっか、後でやろう、明日やろう、そんな言い訳をしてるうちに気づけばいつもの光景が。少しずつでも毎日こつこつ、そんなていねいな生活にも憧れるけれど、それができてない自分にがっかりしてしまったり。
最近は家で過ごす時間が増えて、以前より凝った料理に挑戦してみたり、花を飾る習慣がついたり、ゆっくり本を読む時間が増えたり、肌のお手入れを念入りにしたり、模様替えをしてみたり。今まで以上に快適な暮らしや自分にとっての居心地の良さを意識する生活になりました。と同時に、家にいる時間が増えたってことは、その分どうしたって部屋も散らかるわけで。汚れるわけで。好きなはずの掃除も、毎日となると途端に面倒になってしまう。でもどうせやるなら、掃除すること自体も楽しんでできないのかなぁ・・・。
そんな私がこのところ実践している、掃除を楽しむ方法。それは、掃除を日常の中のちょっとしたイベント=フェスしてしまうのです。非日常のイベントなら、毎日やらなきゃと焦ることはないし、それを “祭り” とか “フェス” とか呼んでしまえば、不思議となんだかワクワクしてしまう言葉のマジック(思い込みとも言いますが)。
楽しむコツは、思いっきりフェスの世界になぞらえて没入してしまうこと。その日このエリアを掃除するぞー!と決めたら、某音楽フェスのごとく “●●STAGE” と名付けて(例えば “KITCHEN STAGE” など)、傍らに流すBGMのタイムテーブルを組むんです。気分に合わせて、ゴリゴリのハードロックでもいいし、センス良くシティポップでもいいし、アイドルやアニソン三昧もいい。現実ではありえないアーティストの並びだって曲順だって自由です。ここは私の、私による、私のためのフェスだから。掃除がはかどるお気に入りのセットリストでテンションを高めます(ただし、好きすぎる曲だと掃除を忘れて聴き入ってしまうので要注意)。
開催地と出演アーティストが決まったら、フェスをより楽しむためのツールを準備。汚れ落ちがすごいらしいと評判の実力派クリーナーや、フェスの後も常に部屋においておきたくなるようなグッドデザインの掃除道具とか、そういうとっておきのアイテムが1つあるだけで、早く試したい!とさらに気持ちが高まります。そうやって準備が整ったら、お掃除日和な休日を選んで、いざフェス参戦。
ちなみに私が時々やるのは “捨てフェス” (完全に語呂の良さが先行しています)。ついつい溜め込んでしまっていた書類や資料を一気に整理したり、冷蔵庫の賞味期限切れを総点検したり、ヨレヨレになったままタイミングを失っていた下着を新調したり。とにかくその日は捨てることだけに集中するんです。迷わずえいっ!といける強めの曲をかけながら。そうしてスッキリ空いたスペースに、次の “ととのえ祭” で、自分でも惚れ惚れするほどビシッと整理収納された空間にするんです。この小さな刺激はクセになる。
そんな風にして、スッキリぴかぴかになったSTAGEを眺めながら、この空間にあたらしい観葉植物を置こうかな、次回はどこを磨こうかな、などと考えながらお気に入りの紅茶とお菓子でひと息つくのが至福の時間です(時間が時間なら、プハーっといってしまうかもしれない)。もちろん周囲を見渡せばまだまだいつもの光景。けどここだけは完璧にしたぞ!という達成感と充実感で、気づけば掃除が「毎日やらなきゃいけない面倒な家事」から「ときどき無性にやりたくなるイベント」になっているんです。
大切にしたいのは、自分のごきげん。こうあらねばという思い込みをちょっとひねって、自分のペースで、自分なりの方法で、掃除も日々の暮らしも楽しめたらいいですよね。
プロフィール
オモムロニ。OMOMURONI.
雑貨コーディネーター。横浜在住。日用品や文具、
公開日: 2021/5/24